「筋トレの効果を最大化したいけれど、その日の体調によって重さが軽く感じたり、逆に重く感じたりすることはありませんか?」
そんな悩みを解決するキーワードが、最新の研究で注目されている「オートレギュレーション(自己調節)」というトレーニング法です。
この研究では、あらかじめ決められたメニューを機械的にこなすのではなく、その日の「動作のスピード」や「主観的なきつさ」に合わせて負荷を調整することで、体がどう変化するかを詳しく分析しています。
出典情報
論文タイトル: The Effect of Load and Volume Autoregulation on Muscular Strength and Hypertrophy: A Systematic Review and Meta-Analysis(筋力トレーニングにおける負荷とボリュームの自己調節が筋力と筋肥大に及ぼす影響:系統的レビューおよびメタ解析)
掲載誌: Sports Medicine - Open
筆頭著者: Landyn M. Hickmott
発表日: 2022年1月19日(オンライン公開)
識別番号: PMID: 35044561 DOI: 10.1186/s40798-021-00404-9
この研究は、過去の質の高い研究データを統合し、従来のような「最大挙上重量(1RM)の◯%」と決めて行う方法と、その日の調子で負荷を決める方法で、筋肉の「強さ」と「大きさ」にどんな差が出るかを検証したものです。
1. 「オートレギュレーション(自己調節)」ってなに?
従来の筋トレは、「ベンチプレス100kgを10回」のように数値が固定されがちでした。しかし、睡眠不足の日もあれば、絶好調の日もあります。 今回の研究で焦点が当てられたのは、以下の2つの調整方法です。
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RPE(自覚的運動強度): 「あと何回できそうか」という主観で負荷を決める。
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VBT(速度基礎トレーニング): センサーで「挙上スピード」を測り、スピードが落ちたらセットを終える。
特に「速度が何%落ちたらやめるか(ベロシティ・ロス)」という基準が、効果にどう影響するかが詳しく調べられました。
2. 研究でわかった驚きの結果
① 筋肉を大きくしたいなら「25%以上」の低下まで追い込む
「筋肉のサイズを大きく(筋肥大)したい」場合、今回の解析では、速度低下が25%を超えるまで、つまりある程度動きが遅くなるまでしっかりセットを継続する方が、より高い効果が得られることが示されました。
筋肉を大きくするには、ある程度の「総負荷量(ボリューム)」が必要だからです。
② 筋力(パワー)を伸ばすなら「25%未満」の低疲労でもOK
一方で、「重いものを持ち上げる力(筋力)」を向上させるには、必ずしも限界まで追い込む必要はないことがわかりました。
速度低下を25%未満に抑え、動作のキレを維持した状態でトレーニングを終えても、追い込んだグループと同等、あるいはそれ以上の筋力向上が見られたのです。
③ 従来の方法よりも効率的
決まった数値をこなす従来の方法(%1RM法)と比較して、自己調節を取り入れたグループの方が、1RM(最大筋力)の伸びが有意に高いという結果が出ました。
その日のコンディションに合わせて負荷を最適化できるため、無駄な疲労を避けつつ効率よく成長できると考えられます。
3. 私たちはどう取り入れるべき?
この研究結果を日常のトレーニングに応用すると、目的に合わせた「賢いサボり方(あるいは追い込み方)」が見えてきます。
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「とにかく体を大きく、たくましくしたい」人 動作スピードが明らかに落ち、筋肉がパンパンになるまで(速度低下25%以上目安)しっかり追い込みましょう。
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「スポーツのためにパワーをつけたい、疲れを残したくない」人 「少し動きが遅くなってきたかな」と感じる程度(速度低下25%未満目安)でセットを終えましょう。これにより、神経系の疲労を抑えつつ、筋力を効率よく高めることができます。
まとめ
「根性で最後まで追い込む」のが正解とは限りません。自分の筋肉の「スピードの変化」に耳を傾け、その日のベストな負荷を選ぶことが、最短距離で目標に近づく秘訣です。
今日のトレーニングは「追い込む日」にしますか? それとも「キレを保つ日」にしますか?
